驚きのパレット
2月の中ばにヨーロッパの水彩画マガジンの編集長の方から、あなたの絵を載せたい、とメールを頂きました。
6ページの特集を組むので文と写真データを送って欲しいとのことで、拙い英語で自己紹介と5行くらいのメッセージを送りました。
絵がすべてだから、なるべく大きく載せてもらいたいなというのと、水彩画は私にとってただのシュミだから、深く考えて描いているわけではなく、そんなたいそうな思想があるわけでもないので、文章も簡潔に送りました。
水彩画を描くことは、私にとって、漫画喫茶でジュース飲みながら好きな漫画やDVDを見まくっている高校生と何ら変わらない行為です。
ビール飲みながら描いてるし、途中で寝ちゃうし。
と言うことで送信したところ
「もっと細部にわたって説明して欲しい、6ページよ、あなたの特集よ!」
とちょっと怒られ、もう少し頑張って長い文章を再送したのですが
「んもぅ~!じゃ、質問形式にしますっ!」
と、どっさり質問が送られてきました。
もう自分の語学力の限界。
友人と、カンマニさんの旦那さんSAIさん(超優秀なインド人)に助けを求めました。
画面背景に何を込めて描いているか?
の質問には、答えに窮する私に、SAIさんはあらゆる問いかけをし、二人の話はアニミズム、仏教、儒教、禅と、深さを増していきました。
あ、本当のことをいうと…のらりくらり答えていた私にSAIさんが懇切丁寧に長時間レクチャーしてくれたのです。
私は目から鱗で
「SAIさん、すごい!ここ20年で一番勉強になったよー!」
「そんなことより 永山さんが今の話を絵に結びつけないといけないんですよ!僕は訳すだけですから」
「えぇーっ。なんか眠くなってきた(泣)」
「6ページですよっ!真面目にやってください」
気合い入れ直し、話していて
「私はさ、きれいな花を "ああ、きれいだな"と思って描いている絵は大好きなんだけど "私の絵 きれいでしょう?"と迫ってくる“きれいなだけの絵”はちょっと苦手。哲学が無い絵はいやだ。」と言うと
「永山さん、哲学を持たない、というのも哲学なんですよ」
「…そうですね。調子に乗りすぎました」
こんな調子で諭されながら話し、訳してもらって送りました。
ただひとつ、使っている絵の具の名前を教えて欲しいという質問には、 「私のパレットを見て。こんなに汚いの。名前とか全然覚えていないの、ごめんなさい」と汚いパレットの証拠写真を送りました。 諦めてくれるだろうと思って。 そしてついに昨日、本がフランスから送られてきました。 「あなたのパレットがあまりにも凄かったので、2ページ増やしました」と書かれた手紙と共に… 表紙にも私の絵を載せていただき感激。 そして開いてみて、ガーーーン(゜Д゜))) なんと、汚いパレットが、絵よりも大きく載っていたのです… いや~ん、 恥ずかしすぎ。 Facebookでは私のパレットは"一体どこで混ぜるんだ!"とか"漢方薬みたい"と言われています。 冬中夏草に見えるのでしょうか…(-_-#) そして、フランス語は全く読めないものの、見出しに"ZEN"の文字を発見しました。 ちょっと笑ってしまいました、いかんいかん。 皆さんのお力を借りまくり他力本願で 無事に載りました。 英語バージョンもあります、どちらも国内の販売は無いようですので、ちらっとごらんいただけると嬉しいです。 さすがフランス、レイアウトがオシャレです。 パレットのページ、タイトルは 「驚きのパレット」だそうです。 ほっといて(笑)
水彩画マガジンのホームページ http://www.lartdelaquarelle.com/
サンプルページ http://bit.ly/MvOQ2a クリックしていただきますと、ほんの少し内容をごらんいただけます。
2012/6/19