タイの思い出
6月にタイに行ってきました。
The World Watermedia Exposition,Thailand というタイ政府が全面的にバックアップした まるで水彩画のオリンピックのような展覧会に お招きいただいたのです。
世界中から集まってきた水彩画が何百枚も展示されるとても大きな展覧会です。
イギリス、ロシア、トルコ、イタリア、アメリカ、スウェーデン、台湾、インド、中国などから招請された20人が 地元タイの絵描きと共に 10日間、観光をしながら 遺跡や漁港を描きました。
これが参加者と作品です。それぞれ素晴らしい絵を描かれます。私ともう一人台湾の作家だけが初参加、他の人達は 世界中で開かれている展覧会に招かれたりして皆顔馴染みでした。
私の写真だけが、スナックゆう子になっていました。Facebookからの写真を使ったようです。誰のせいでもありません、自分のせいです。
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タイ以外の国からもたくさんの見学者が来ていて アーティストの人気の高さと期待度が半端ないものだと思い知らされました。
正直、私は 水彩の世界に対して無知で 国内はもとより海外の作家に至っては誰一人存じ上げませんでした。
バンに乗り グループ別に移動するのですが、偶然一緒の班の白人のおじさん達の写真を見た笠井さんが「永山さんと一緒に写ってる人スーパースターだよ!」と興奮したメールを送ってきてくれました。そののち、作品をみてびっくりしました。
車のなかで 皆で 話していたことは「写真を使用して描くことの是非」などでした。
皆が「写真を使うことは問題はないが ただ丁寧に 写真そのものをそっくり写実するだけの作品に なんの意味も見いだせない」と意見が一致し、では何が大切か、それをどう伝えるかなどを話し合っていました。根幹は皆同じなんだ と勇気づけられました。
皆の提案で 夜にはそれぞれの作品を見せ合ったりしました。
私はすぐにクネクネする悪い癖があり 隣の人にたしなめられています。
そしてそのあと、誰かを誘ってホテルの部屋やロビーで描きあいっこをするのです。ドキドキ。 私はロシアのKonstantinに誘われ、台湾の絵描き夫婦の奥さんを描きました。
漁港ではテレビにも出ました(笑)
日本からは私だけでしたが、アメリカからの参加Keiko Tanabeさんと仲良くなり 本当に 毎日お腹を抱えて笑いました。絵の話もたくさんしました。
この日は特別に私たちだけに 幕の内弁当が振る舞われました。他の絵描きはサンドイッチだったので、申し訳なく離れたところで二人で食べました。私は お客さんにいただいたバッタに夢中 面白いのは 皆 サッカーの試合の後にユニフォームを交換するがごとく描いた絵をサクサクと交換してしまうのです。潔く 楽しく 何て自由なんだー!ほんとにコミュニケーションの手段じゃんー!と思いました。 作品を何点か交換しました、宝物です。
全部作家からもらった作品集と作品
いよいよ最後の日になり 私はドキドキし始めました。展覧会のオープニングレセプションの前に 会場で二時間のデモンストレーションをしてくださいと事前に言われていたのです。
私の他に二人のタイの作家もデモをやることになっていました。
会場はすごい人でした。
私は緊張しながら描き始め 生演奏が始まると楽しくなり、まわりのみなさんと話ながら描き進め 生きてきた中で 今が一番幸せだなと思い 少し泣いてしまいました。
あまり大きな声で言えませんが、その時 急に横槍が入ったのです(タイのかたは終始協力的で信じられないくらい優しかったです) 。
少女漫画風に言えば、「あなたそこ退きなさいよ!わたしも描くわ」と いきなり ライバルが出現したのです。面白くなってきました( ̄ー ̄)
私は絵を描くときには 静かな幸せな気持ちで描きます。競争心など持ったこともなく 比べることもありません。
でも急に場所の移動を命じられたりして、この時は 生まれて始めて 「負けない」と思いました 笑
完全にガラスの仮面的な世界、 他の作家が私のそばに来て「Yuko の味方だ がんばれ!」と頭を掴まれました、ありがとう ベストを尽くすわ。
何故 スポ根みたいになっているのか。可笑しくて泣き笑いしながらも 暫し忘れて集中して描き終えました。
終わったあとで残っていた作家が集まってくれました。
そして最後に ずっと田辺さんと私のお世話をしてくれたスタッフのミムちゃんと写真を撮りました。
展覧会場は2階と3階で、大きなエレベーターに乗ったら 偶然ライバルと二人だけになりました。(私が勝手にライバルといってるだけの話ですが)
そこで交わした会話は …秘密です( ^∀^)
すごく 調子に乗りました、すみません。
そんなこんなで あっという間に10日間が過ぎました。
日頃から「水彩は敷居の低い大衆芸術 誰でも楽しめるし スゴい人は子供にもちゃんとわかる」と言っていますが、今回、そのスゴい人たちの胸を借り 挑んでは大きく凹み 彼らの実力に圧倒され、 水彩ってこんなに広いんだ、深いんだということに 気づかされました。
水彩画がもっともっと好きになりました。
今、その時の何人かの作家で 各国を巡回する展覧会を企画しています。
日本でも彼らのスゴい作品を観ていただくチャンスが訪れる日を夢見ています。
長い しかも自慢気な文を最後まで読んでくださり 本当にありがとうございました。
2014/08/09