中学3年の春に、進路についての三者面談がありました。


担任「永山、おまえは将来何になりたい?」

私「映画の看板描く人か、お風呂屋の富士山描く人になりたいです」

母   ……絶句

担任 「はっはっは、そうか、わかった、ふぅん、そうか。」


その日以来、私の中学三年受験生活は、他の人とかなりちがうものになりました。

事ある毎に、担任に呼びつけられました。

ある日は「おまえ、5、6時間目公欠にするから、ココ行ってこい!」と誰かの個展の案内のはがきを渡され、私は一人セーラー服で午後の銀座をさまよいました。

やっと探し当てたギャラリーに入り、わけのわからない絵を見たりしました。アップルパイを出してくださったのですが、緊張していたので、フォークで切ろうとして全部セーラー服にぶちまけたのを思い出しました。すごい光景でしたよ。

そして「あの…将来映画の看板描く人か、お風呂屋の富士山描く人になりたいんですけど、どうしたらいいんですか?」と聞きました。(担任との約束は、必ずこれを聞くこと)

おじさん達は笑って「そうかー、それじゃあ、芸大に入ればいいよ」「そうだ、そうだワッハッハ」


昼間にブラブラしている中学生、今なら補導されてもおかしくありません。しかし、一度だけ補導っぽいこともありました。

上野の東京国立博物館へ行ってこいと言われ、電車でいかなければいけないところを自転車で行き、見終わったあと鍵を無くしたのに気づいて、仕方なく鍵のところを石で叩き壊していたら、お巡りさんに見つかり軽く補導されました。


またある日、「お前明日、汚れていい作業服持って来い。古いジャージとか無いのか?」というので

「なんかあると思います。」


次の日学校にいくと

「おまえは昼からココに行って手伝って来い」と中学から20分くらい歩いた銭湯(担任の家のそば)の地図を渡され、なんと富士山を描き直すおじさんのお手伝いをさせていただきました。本当に足手まといだったと思います(-_-)

といっても、運んだり混ぜたりするだけでしたが、感動しました。

こんな早くに一つ目の夢が叶いかけるなんて…(笑)

とにかく今、公立中学で同じことをしたら教師はとっくに免職になっているのではないでしょうか。貴重な体験をしました。


それから私は美術高校のデザイン科に進み、今度は友人と映画三昧の日々。名画座二本立てなどを観まくり、相変わらず映画の看板描きに憧れていました。

その後なぜか大学は油画科に入り、月日がグーンと流れ、看板描きのことなどすっかり忘れてしまいました。水彩画を描きだしたのはここ8年くらいです。ラジオや音楽を聴きながら、ただひたすらに楽しんでいます。

その中で毎週欠かさずに聴いているのが、 TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』という日曜朝の番組です。初めて聴いた時は、誰このキレた人、面白すぎる!と興奮し、以来5年間ヘビーリスナーになってしまいました。

テレビで見せる安住さんとはちがう、黒い部分が炸裂していて、ものすごく魅力的です。豊富な語彙をもって繰り広げられるトークは、見事としかいいようがなく古典落語のようです。

ひょんなことからその番組のポストカード(メッセージを読まれた方に番組から返礼として送られる)を描くようになり2年が過ぎました。

 

TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」ポストカード


※ポストカードについてはこちら>>>


先週の日曜日は年に一回の公開放送と言うことで、檜原村に行ってきました。 公開放送は小学校の体育館を借りて開催され、昨年同様、校庭では沢山の出店がありました。

今回は、TBSラジオ 取締役編成業務局長自らが、リスナーと接すべくチョコバナナを作って売る!という「ひろしのチョコバナナ」も出店することになり、急遽看板を描かせていただきました。
そんなお偉いさんがチョコバナナを売るなんて…(笑)とおかしさを噛みしめながらも、真剣に描きました。

 

 



当日は快晴で、1500人以上の方がいらしてたのではないでしょうか。心くばりの行き届いた素晴らしいイベントでした。


満足して帰路につき、幼なじみに「ひろしのチョコバナナ」の看板の写真を添付してメールしたところ こんな返信がきました。


「永ちゃんさぁ、中学の時から映画の看板描く人になりたいって言ってたよね。これ、映画の看板みたいだよ。」


すっかり忘れてた…夢が…叶った?

二年間、ウキウキと楽しい絵を描くチャンスを与えていただき、番組のスタッフ、安住紳一郎さんに、心から感謝いたします。ありがとうございました。

 

2012/10/18


 

 

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